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ムキンポの鼻☆スペリオール

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2009年5月号

連載第58回

生きることは犯罪じゃない! NO ONE is ILLEGAL


「外国人追い出しデモ」に反対する横断幕

手前に小学校

○○○○○不要?

 4月11日(土)、埼玉県蕨市で「在日特権を許さない市民の会」を名乗る排外主義者たち(なんで「国民の会」ではなく「市民の会」を名乗ってるのだろう)による破廉恥で恥知らずなデモが挙行された。個人、しかも少女を名指しして、彼女の生活圏までわざわざ出向き、およそ100名ものいい年した大人たち(老若男女)がよってたかって、犯罪者は出て行け! と日章旗を連ねて下品な声で叫びまくったのだ。その2日後には彼女の両親は彼女1人を日本に残して故国へ帰ることがすでにそのとき決まっていたのに。
 法務省の前とか入管の前とかでするなら、僕にもまだぎりぎり了解できる。誰にも自分の意見を表明する自由はある。それがどんなに腹の立つ、くだらない意見であったとしても、愚行権という言葉もあるし、人間、生きていれば必ず誰かに迷惑はかけてしまうものだ。もちろん程度や節度、限度というものはあるにせよ。それなのに、個人を名指しして、彼女がかつて通った、そして現在通ってる、小学校や中学校の前で拡声器まで使って大勢で、日本から出て行け! と汚い言葉で罵るとは。
 なんのために? とふつうの感覚をもつ人間なら誰しもが疑問に思うだろう。憂さ晴らし? イヤガラセ? 弱い者イジメ? 日頃、そんなにも鬱憤がたまってるのか? いずれにせよろくなもんじゃない。まともな人間のするワザではないだろう。右翼だって心ある人たちなら眉を顰めるに違いない。
 彼らは「お涙頂戴の感情論に騙されるな」と得意げによく言う。「お涙頂戴」は僕もあまり好きではない。しかし「お涙頂戴」がいくらダサくとも、「血も涙もない」より遙かにいいだろう。「お涙頂戴」は誰の命も奪わないが、「血も涙もない」は人の命を奪う。
 僕たちは彼らの行動をネットで知り、当日、40名ほどの個人が駅前に集まった。彼らへの抗議の意思表示だけを目的としたまったくテンポラリーでアドホックな集まりだった。参加者の間に充分な意思統一がはかれていなかったし、いくつかの不手際があり、結果として、当初の目的も充分に果たせぬまま、2名の被逮捕者まで出してしまった。1人は「不法入国は犯罪だ!『かわいそう』のペテンに騙されるな!」と書かれた彼らの横断幕(僕に言わせれば単なる暴力装置)を引きちぎった容疑で、もう1人は公務執行妨害容疑で。
 僕たちの行動はリベラル派の間からさえ多くの批判を受けるかもしれない。しかし僕はそれらの批判を引き受けたうえで、僕たちのその日の行動を「基本的に」肯定する。2002年3月30日、日比谷公園で焼身自殺した桧森孝雄さんは死ぬ直前に残した文章に次のように書いていた。「平和的であれ、暴力的であれ、人間の尊厳を回復するための抵抗を無条件に支持します。」



2009年4月11日(土)
生きることは犯罪じゃない!
NO ONE is ILLEGAL

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