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ムキンポの鼻☆スペリオール

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2008年5月号

連載第46回

映画『靖国 YASUKUNI』をめぐって



 4月10日(木)、李纓監督の参加を得て、参議院議員会館で「映画『靖国』への政治圧力・上映中止に抗議する緊急記者会見」があった。映画自体は2月に銀座の東劇ですでに観ていたが、監督を生で見るのはこれが初めてである。声を聴いて、映画の中で刀匠=刈谷直治氏と対話をしているのはやはり監督自身なのだと改めて確認できた。監督は靖国に10年間通ってこの映像作品をつくりあげたらしいけど、僕も2001年からすでに7年間靖国をめぐるあれこれを撮りつづけている。その大要は Yasukunix として自分のウェブサイトにまとめてあるけど、一連の騒動の中でこの映画がはたして実際に上映されるかどうかずっと気になっていた。他人事ではないのだ。国会議員や右翼からの圧力ということも言われていて、実際そのようなことはあったし、それによって映画館側が「自粛」したのだろうけど、今後の上映のことを考えれば、より重要なのは刈谷直治氏の問題だろう。メディアで仄聞する限り、氏の意向は揺れているようだ。TVのニューズに夫妻で出て(録画だが)、氏が直接、自分に関係あるシーンは削ってほしい、という意味の発言をしてるのを聴いたし、一方、「AERA」は、映画には何の問題もない、という発言を氏から直接引き出してもいる。映画には監督の刈谷氏への敬意が感じられたし、刈谷氏の監督への友誼も感じられた。騙し撮りというのは当たらないだろう。削ってほしい、というのも、映画には問題ない、というのもたぶんどちらも刈谷氏の本心なのだ。そして氏をめぐり様ざまな圧力がある。


 4月18日(金)、一水会の木村三浩氏らの呼びかけでLOFT/PLUS ONEで右翼民族派向け『靖国』試写会があり、僕も取材枠で交ぜてもらった。招待者120人、取材陣80人と写真のような鮨詰め状態の中、映画は粛々と上映された。上映後の喧喧諤諤の意見交換会では、客席からは「駄作」「反日的」という激しい意見も目立ったが、東京大空襲の場面に目頭が熱くなるほど心を撃たれた、と壇上で発言した幹部もいたし、右翼といっても意見はさまざまである。もちろん左翼もそうなんだけどね。このときの様子はオーマイTVでノー・カットでライヴ配信及びオン・デマンド配信された。
 この映画を反日とも愛日とも僕には決めかねるけど、監督同様、毎年8月15日に靖国通いをつづけている身としては、左側はともかく右側の映像をよくここまで対象に迫って撮れたな、と感心した。作品の中で刈谷氏に、あなたは小泉の靖国参拝についてどう思うのか? と訊かれて、それには直接答えず誤魔化すような感じになってたけど、そういう態度じゃないとこの映像は撮れないよな、とも同時に思った。上映をめぐる騒動を含め、個人的にいろいろと考えさせられる作品であり事件であり、今後の推移を見つめつづけたい。


 4月11日(金)、立川反戦ビラ入れ裁判で最高裁による不当判決があった。表現の自由をどう考えてるのだろう。これじゃほんと最高裁じゃなくて最低裁だよ。
 個人的な記録として、3月23日(日)、松屋銀座にターシャ・テューダー展を観に行ったこともここに書き記しておきたい。換喩法か提喩法か何法かわからないけれど。



2008/04/10 (Thu)
映画『靖国』への政治圧力・上映中止に抗議する緊急記者会見
http://mkimpo.blog.shinobi.jp/Entry/435/

2008/04/18 (Fri)
映画『靖国 YASUKUNI』〜ロフトプラスワン試写会
http://mkimpo.blog.shinobi.jp/Entry/440/

2008年4月19日(土)
立川反戦ビラ入れ裁判・不当判決を認めない立川集会・デモ

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